2005年11月20日18時46分
家電事業の不振で業績が悪化しているパイオニアは、伊藤周男(かねお)社長(69)が12月にも引責辞任し、後任に須藤民彦副社長(58)が昇格する人事を固めた。創業家出身の松本冠也(かんや)会長(75)も退く。21日の臨時取締役会で決定する。
同社は、デジタル家電の価格下落の影響で、06年3月期に2期連続の当期赤字になる見通し。生産拠点や従業員の追加的な削減などのリストラ計画を12月8日に発表するのに伴い、現経営陣の責任を明確にする。
同社は3月、国内外の生産拠点10カ所と人員2000人の削減を発表。採算悪化に歯止めがかからないDVDレコーダー、プラズマディスプレー両事業の縮小などを検討しており、追加リストラ費用の計上で、通期赤字は10月末時点予想の240億円から拡大する見通しだ。
同社は97年末に民生用ハイビジョン対応プラズマディスプレー、99年末にはDVDレコーダーを世界で初めて発売。技術力には定評があるが、松下電器産業など大手に押され、収益源につなげられなかった。ただ、自動車向け製品や特許関連の収益は好調で、財務体質もそれほど悪くないため、家電事業のリストラで業績回復を図る。
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須藤 民彦氏(すどう・たみひこ)立教大社会卒、70年パイオニアに入り、04年専務、05年6月から副社長。
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最近多いですね。偉大な創業者の元で跡を継いだ人々は。
偉大な先代や創業者であればあるほど、自己との実力とのジレンマがあった事でしょう。予断ですが、遺産総額ランキングのページで長男の誠也氏の遺産の情報が掲載されていました。
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松本誠也さん
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/sougaku.htm
(大手音響メーカー:パイオニア前会長でレーザーデスクなどを立ち上げ、99年5月70歳で死去。パイオニアの前身福音商会電機製作所創立者の故松本望氏の長男)
===遺産総額は、100億9,500万円――
遺産の大半は同社の預貯金、不動産などで、妻や同社取締役の子など7人が相続----相続税額は40億。
遺産総額ランキングのページより抜粋
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今回辞任する創業家出身の松本冠也会長は、偉大な創業者の故・松本望氏のご次男の方
だそうで。
継承する利益も大きいですが、社会的責任や組織の軋轢、従業員やその家族、各社取引先も同時に引き継ぐリスクと覚悟を背負って経営を考えてもらいたいと思います。
業容がここまで後退する前に打てる手立ては無かったのでしょうか。
経営責任を明確にするため退任するそうですが、生活の糧を奪われるであろう国内連結従業員の
約1割に当たる1000人規模の人員には、あなた方ほどの経済力もありません。
本当に企業を永続させて行く事を考えるのであれば、親族といえども身内の過ぎた厚遇は改めて
純粋に力がある者を経営者に据えてもらいたいものです。
その辺りを創業者や先代の経営者は、身内こそ最も厳しく見つめ器に叶わなければ、身内でも
切り捨てる覚悟であるとの考えを継承させようと考える親族に、そういった意識を植え付けるべきです。
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パイオニアが家電再構築、DVD生産一部撤退・1000人削減
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20051120AT1D1900I19112005.html
業績不振に陥っているパイオニアは家電事業の再建策を固めた。急激な値下がりで赤字に陥ったDVDレコーダーは一部生産から撤退、国内連結従業員の約1割に当たる1000人規模の人員削減に踏み切る。経営責任を明確にするため、伊藤周男社長(69)と創業家出身の松本冠也会長(75)はそろって退任する。電機業界では三洋電機も抜本的な事業改革に追い込まれており、デジタル家電での優勝劣敗が一段と鮮明になる。
21日に開く臨時取締役会で正式決定する。伊藤社長の後任にはカーエレクトロニクス事業で実績を上げた須藤民彦副社長(58)が12月中にも昇格する。 (07:01)